Milling Stop-Motion(仮)公開制作

映像を展示することにためらいがありました。

白壁に投影されたプロジェクターの映像はスマホの画面ほど鮮やかではないし、音は周りの雑音と混ざります。ループ再生される映像はたいてい途中から観ることになるし、スツールは家のソファーほどには座り心地もよくない。

なにより、自由にコピーできて、放送できて、違法アップロードまでされて、どこでも観られる——そんな映像の自由さが好きで作ってきたので、展示に来た人しか体験できないものを作るのは、どうにも筋が通らない気がしていました。少なくとも私の映像には「その場でこそ観る意味がある」ような強度はないと思っています。

だから、代わりにひとつのコマ撮りミュージックビデオを作る過程そのものを展示にすることにしました。

主役はフライス盤。動く回転刃で金属や木のかたまりを好きな形に削り出すことができて、半世紀以上にわたって工場で活躍してきた工作機械です。ふつうは削り出された完成品が目当てですが、この作品では削り出す過程を写真に収め、アニメーションにします。機械加工のプロセスが映像になり、映像制作のプロセスが展示になる。会期全体が、この映像をつらぬく時間軸です。初日に冒頭のコマを削りはじめ、最終日までに最後のコマを撮り終えるので、3ヶ月半がまるごと、3分の映像に圧縮されることになります。

公立美術館をアトリエにして、轟音と粉塵を撒き散らしながら、チマチマと削り続けようと思います。

フライス盤で素材の塊を少しずつ削りながら、その途中を1コマずつ撮っていくコマ撮りアニメーションです。

東京都写真美術館の「ふたたびくみたてる 日本の新進作家 vol.23」の会期中、展示室を作業場にして撮影を続けます。展示室にはフライス盤と、カメラを動かす1800mm四方ほどの箱型のリグ(撮影装置)が置いてあって、日によっては削っている最中に立ち会えるかもしれません。

会期が終わるころに、音楽にあわせた数分の映像ができあがる予定です。

展覧会

展覧会ふたたびくみたてる 日本の新進作家 vol.23
Assembling Anew: Memories, Materials, Context, Technology — Contemporary Japanese Photography vol.23
会場東京都写真美術館 3階展示室(東京・恵比寿)
会期2026年9月30日(水)〜 2027年1月17日(日)
開館時間10:00〜18:00(木・金は20:00まで)、月曜休館
出品作家市田小百合、苅部太郎、野村在、橋本麦、藤倉麻子

公開制作スケジュール

●の日は、開館中ずっと展示室でフライス盤を動かしたり撮影したりしています。11月からの予定は、決まったらここに足していきます。

2026年10月

MTWTFSS
9/30
●
1
●
2
● 午前
34
●
5
休館
67
●
8
●
9
● 17時〜
10
●
11
1213
休館
14
●
15
●
161718
●
19
休館
2021
●
22
●
23
●
2425
26
休館
27
●
28
●
29
●
30
●
31
●

作業の具合で、時間が前後したり、機械が止まっていたりすることもあります。助っ人の方が代わりに撮影している日もあります。

会って話したい方は、メールや X、Instagram など、好きな方法で気軽に連絡してください。

制作ログ

これまで

  • Milling Stop-Motion(2022)— Vice TVのロゴIDとして作った映像。今回の作品の出発点
  • 積層と切削 — 3Dプリンタとフライス盤の2本立てで進めてきた企画。今回はそのうち、削るほうだけを作ります
  • 6-Axis Box Rig — 展示室に置いている箱型の撮影装置の設計メモ。設計はゆくゆくオープンソースで公開する予定
  • Koma — 撮影に使っている自作のコマ撮りアプリ
  • CNC、リグ、映像
  • Strata-cut Animation
  • #cnc_av — Xに投稿してきた、CNCまわりの実験や途中経過

古いメモ

Devlog

クレジット

ディレクション
橋本麦
音楽
Max Cooper
プロデュース
別所梢(mimoid inc.)
技術協力
右左見拓人、徳井直生、高田徹、清水愛恵、森隆太
キュレーション
山﨑香穂(東京都写真美術館)
スペシャルサンクス
宇佐美毅、anno lab、寺井弘典、小野龍一、金沢康行
助成
創風(経済産業省 令和6年度補正 コンテンツ産業成長投資支援事業費補助金)
支援
令和8年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業
協賛
株式会社オリジナルマインド