橋本 麦∿Baku Hashimoto

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SpaceShowerTV Ident — Proposal

企画概要

3年ほど住んだ北海道で撮り貯めた動画素材のコラージュ・ビデオ。

特に技法やアイディア、インタラクティブ性などを軸にすることもなく、気になる近所の風景や造作物を思いつくままに加工していきます。MVとして制作したものをベースに、15秒-1分ほどのID映像にエディット予定。

以下、個人的なウダウダ。


私生活の変化や「東京五輪から疎開したい」など諸々の気持ちが重なり、この冬まで3年ほど出身地の北海道に移住していました。久々の地元での生活を通して、10代の頃には目に留めもしなかった近所の街並みの妙なディティールが気になり始めています。特に、運転免許を取り公道上から街区を眺めるという経験には、見慣れた風景に新たなレイヤーが加わるような新鮮さがありました。

都市圏は東京五輪に大阪万博、それに伴う再開発と、仮初めの盛り上がりに湧いています。その一方で、地方は都市居住者にとっての理想を仮託されるかのように、牧歌的で住みよいイメージがメディアを通して日々喧伝されつづけています。

「北の国から」以降の北海道観

しかし実際に北海道という地方に済む中で感じたのは、「北海道シチュー」のCMのようなぬくもり感にも 「俺さ東京だ行くだ」のようなカリカチュアライズされた辺境感にも収まらない、何とも言えない中途半端さです。

春の新緑よりも鮮やかな、啓蒙効果も定かでない交通安全旗の列。寂れた商店街の空き地に増殖するタイムズ駐車場と単管パイプの柵。規格化された三角屋根へのカウンターとして昭和40年代に流行したメンテナンス性に欠ける変形屋根。ある意味でトマソン(=土木や建築に付随する無用の長物)的にも思える地味な風景に焦点を当てることで、広告表現や映像文化において飽きるほど擦られたセルフ・オリエンタリズム的表象(渋谷スクランブル交差点、浅草、女子高生、積み上げられた室外機…)にはないnerdy(ナード的)な魅力のある街撮りビデオの様式を打ち立てられるのではないか考えています。

また企画とは関係ありませんが、映像やグラフィックをつくるのみならず、 平行してその背後にある歴史的経緯などを調査取材し、ホームページ、同人誌、Wikipeida執筆などといった形でまとめる予定です(気になるモノは以下参照)。あるモチーフの視覚表象に感じる魅力と、それ自身について深く学びたいという欲求は不可分である、という個人的な実感に根ざしたものですが、その一方で、今まで実践してきた「映像技法から作る」というスタイルに代わる、ドキュメンタリー、ビデオ・エッセイ制作のようなアプローチに実験的に取り組みたいという想いもあります。


本企画は、flau recordsCuushe氏(このWikipedia記事は私が執筆しています)とaus氏らによるFEM名義でのリリース「Light」のためのミュージックビデオとして構想していましたが、使用しているツールのカスタマイズなどに傾倒するうちに2年が経過してしまいました。そこで一念発起、スペースシャワーTVのID制作、映画祭への応募など、締切と目標を定めることで、何らかの形にしたいと考えています。サウンドに関しては、当音源もしくは WAKEN – EP(こちらも一曲MVを制作予定だった)から抜粋し、エディットする予定です。

スケジュール

Cuushe氏の音源は2年前にすでにリリースされているため、地元開催の映画祭に出品することをさしあたりの締め切りとして制作を進めます。

  • 2022年4月中旬 – 制作再開
  • 2022年5月上旬 – 追加撮影と取材旅行
  • 2022年6月 – 新千歳空港国際アニメーション映画祭 の募集締め切りに合わせMVを完成
  • 2022年7月下旬追加カットを制作、ID映像用に再編集し納品
  • 2022年夏中 – Webサイト、Wikipedia執筆、同人誌など何らかの形にまとめる

キーワード

デイリー・ポータルZ / 大山顕 / ガスタンク2001 / 超芸術トマソン / ブルータリズム / 箱物行政 / Goods(ものへの嗜好、よさ) / 田舎の未来 / Spomenik

気になるもの・こと

交通安全旗 / 旗の波運動 / 単管パイプ / アイヌ人形・ユーカラ織りと文化盗用 / ふきのとう / 山菜 / ほおずきの葉脈を漂白剤で抽出する / 矢羽根標識 / 改良住宅 / 昭和の型板ガラス / 碍子 / CB造家屋 / 灯油タンク

気になるもの一覧

動画イメージ

上記音源のリリース時のトレイラー映像。以後、あまり進んでいない。


ムードボード、習作、制作過程など

どうでもいい近所の風景がAR的に変形する

祖父母の家の「模様」を集めてコラージュする

左の黄色の模様は台所の床でしたが、最近リフォームして見るも小綺麗なクッションフロアに変わりました

近所の建物や潰れたスーパーをスキャンして、変形させる

変形屋根、ブルータリズム建築のようなグロテスクさが気になる。

旭川信用金庫(しんきん)
ふきのとうと帯化

アートワークのための習作

近所から見える山々(大雪山系)の地形に、おばあちゃんの窓のスキャンデータをブッ刺す

(と思ったが、ライセンスの関係上標高データを使えず)

アートワークのデザイン

撮影素材

プリ・ビジュアライゼーション

リファレンス

クリス・カニンガム氏のCM仕事。不穏さ
オーディオビジュアルの名匠ことLucio Arese。風景のどうでも良さと異物感
この辺の「日常のいなたいものイジり」は、谷口暁彦氏を源流に身の回りの友人も擦り初めている気がする。DPZ世代
AUJIK氏もAR的に現実がデフォメーションするビデオを多々制作している
flauは久野遥子さん、TAKCOMさん、Tao Tajimaさんと、映像作家に愛されるレーベルという印象を持っています。風景に巨大な物体がオーバーレイする異物感
道民にはお馴染み天塩川〜宗谷丘陵近辺ですが、ガードレール等の造作物が消し込まれてしまっている