Diary
日記のうち、まだ人様にギリギリみせられそうなもの
N=1 おじさん
象徴的に「〜おじさん」と呼ぶの、やっぱり悪手だと思う。ぼくは好きくない。たぶんミラーリングの意図があるんだろうけど、接尾語なら「〜びと」(e.g., 企み人)を推したいな。道具としてのAIと所有の問題を分けて考えたい
土屋 泰洋 さんの デザインの手前 でのお話、有馬さんも仰る通りべらぼうに面白いなぁ CBCNETの連載 『 Dots & Lines 』は自分もすごく影響を受けた。ああ、こうやって串刺していいんだ〜というか。「Art & Tech」的な界隈の中でも、土屋さんは編集工学的なセンスがずば抜けている。
巻き込まれ力、サインペインティング、国際学会
スタートアップ界隈とかWeb業界の人と話していると、ときどき「取り組んでいるプロダクトそのものは、この人のキャリアという物語におけるマクガフィンなんだなぁ」と思わされることがある。マクガフィンとは、映画で「ストーリーを転がす小道具」みたいなもののことをいう。『パルプ・フィクション』のアタッシュケースの中身とか、ああいうの。マクガフィンの特徴は、それを置き換えたところで物語としての強度にさほど影響しないことだ。つまり、他愛もない雑談こそあの映画の中心であって、アタッシュケースの中身が金塊でも札束でも白い粉でもいいわけ。

ハイプとプレーンテキスト
勢い ノートアプリ Obsidian の現CEO、 Steph Ango の日記が面白くて、最近は日課みたいに訳している。ちなみにぼく自身は Obsidian をメインでは使ってない。でも開発者の姿勢や設計思想がいい意味で「推せる」ので、Cosenseと並んで人に勧めまくっている。 アプリよりファイUIライブラリについての論文が国際学会に採択された
I’m really honored that our paper co-authored with Jun Kato on parameter-tuning widgets for creative software has been accepted to UIST 2025, one of the biggest international academic conferences on Human-Computer Interaction. It’s my first academic paper ever, which makes it way more special.詰め方の問題
デザインの話をしているって言いながら、「グラフィック」デザインの話がぜんぜん出てこない。 出てくるのはキャリアのこととか、組織論とか、どこからどこに資本が流れているかとか、 Design Thinking がどうとか、そういう話ばかり。もちろん、それも大事な視点ではある。現実にお仕事としてやる以上
カメラの脱構築とSigma BF
Sigma BFが発表された頃書いていた文章。けどあまりに勢いに任せすぎていたから、5ヶ月くらい寝かせていた。だいぶ論理的な繋がりが雑だなぁ。 ここ数年、ぼくは映像制作に Sigma fp を愛用している。角ばっていて、ネジ穴が三方に切ってあるから、リグが組みやすいのが好きだ。 fpシリーズは、
ニッチな物語とマクロな物語性
初出・ Web Designing 2025年4月号 年末、珍しく忘年会に出かけた。 東京TDC賞グランプリをいただいた後だったので、少しばかりチヤホヤされたいという下心もあったと思う。その場で、同世代でUI/UXコンサルティング会社を経営されていると🍡(仮名)さんとばったりお会いし、TBSドラマどこまでプレビズするか
2回にかけて工作機械やCNCへの興味をうだうだと綴ったわけですが、今作っている映像が要するに何なのかについて、手短に説明したいと思います。 まず、繰り返しにはなるんですが、 3Dプリンタ と フライス盤 という2種類のCNCをフィーチャーした2つのコマ撮り映像を作ります。いずれも3分前後。ミュージ
マザーマシン
この数年、工作機械に興味があります。 回転させた材料に刃物を当てる 旋盤 。その逆に、回転させた刃物を材料の塊に当てることで、目的の形状を削り出す フライス盤 やボール盤。古くは町工場で使われ、手作業で数十ミクロン単位の精度を追求する旋盤工のような職人さんの仕事道具として活躍してきました。 機械部
CNCコマ撮り2つを作る
去年の7月から、 経産省のプロジェクト『創風』の助成 を受け、2つの短編映像を作っています。 元はというと、CNC(コンピューター数値制御)という、モーターのついた工作機械を制御する技術への個人的な興味から始まった企画です。CNCはそれこそフライス盤や旋盤とともに半世紀前からある古い仕組みで、最近
TDC賞2025
東京TDC賞で、『MONO NO AWARE / かむかもしかもにどもかも!(imai remix)』がグランプリを、インタラクティブMV『group_inou / HAPPENING』がTDC賞を頂いた。
Pave.jsというパス弄りライブラリを作っている
Music by imai - Wonder Drop 映像作家の 橋本麦 (はしもと・ばく)です。普段はモーショングラフィックスや3DCG、コマ撮りやインスタレーション制作などをしています。そのなかでジェネラティブな表現やグラフィック制作のために、p5.jsといったクリエイティブコーディング環境
口汚さ
5月に公開した「Making of Kindolphin」は、今まで書いたメイキング記事の中でも一番反響が大きかった。メイキングというか、実質「インタラクティブMV個人史」であり、かつて憧れた業界へのお気持ち表明なんだけど。
ソフトウェアはブートストラップする
このWikiは主に僕のツール開発にまつわる調べごとや気付きを集積するための場所ですが、自分の活動を通じた一貫した興味を、今一度まとまった文章として残しておこうと思います。 いい機会だから、これまでの仕事を通して、自分の中で一貫している部分はなんなのか考えてみるのはいいかもしれませんね。共通して興味
和声
最近ずっと、Aquaとユーフォのサントラをピアノで練習している。最初はただ音をなぞるだけだったのが、徐々に和声が耳に引っかかってくるようになった。改めて思うのが、和声ってすごすぎない?
第二種電気工事士を取得した
制作をしていると、より低レイヤーの事柄を理解しないからにはこのまま手を動かし続けるわけにはいかないという強迫観念に駆られることがあります。とはいっても、これまではツールのSDK、あるいはOpenGLなど、まぁ勉強しといて損は無いかなという程度の穏当なものでした。しかし今年の頭、電子工作をしていたときにふと「100V電源を扱えないからには映像作家としてネクストレベルにいけない」という考えが頭をよぎって以来、いてもたっても居られなくなったので、一般用(家庭用)電気工作物の配線や作製に合法的に従事するための資格である第二種電気工事士を取得することにしました。その辺、若干パラノイアの気があります。

一億総クリエイター
「一億総クリエイター時代」の帰結が、それっぽいものを作る技術がコモディティ化して、ギグエコノミー的に買い叩かれる世界になりそうな気がしてならない。 とかお昼ごはんを作りながらツイートしてたら、 伊藤 ガビン さんや 中村健太郎さん から反応があった。適当に言ったので正直あまり深くは考えてない。 そん
行き当たりばったり性
この前 imai さんに持ちかけられて、ちょっとしたビデオを作った。 待たせてしまっている制作が終わるまで他の MV やアートワークの相談は断らせて頂いていた中で、この曲だけ請けてしまうのは気が引けた。だけど、この前 imai さんと長電話した時に全然制作が進まなくて気が滅入ってるという話になり、
有性生殖論
クセとトーン
ここ最近、ユーフラテス関係の方とオンライン長電話する機会が立てつづけにあった。具体的には山本 ロバート 晃士さんと石川 将也さん。ひさびさに人と制作の話をしたので、いってることが支離滅裂だし滑舌も最悪で、なかなかにひどかった。コロナ禍前に地元に移住して以降、身近に会える友人との話題が主に結婚や出産とボードゲームの話だったので、そのあたりの言語野が退化したような気さえする。
Fitness Lanscape
I've often used the notion of fitness landscape as a metaphor when thinking of genes and memes in a complex world. It can be useful to understand natural selection visually, but it'd be also a nice model to abstract how evolution or innovation works in society, design, and even software development as a sort of mountain climbing. Here are some gifs that show how particles behave in various environments. All of the imageries are under CC-0 so please feel free to use them anywhere.
Glispの展望と悩ましいこと(誰か助けてください)
Glisp を開発している中で、このエントリにも上げたような問題があったので言語処理系自体を、一般的な Lisp 評価器とは異なった、より GUI やデザインとの親和性の高いものへとアップデートしようとしています。しかしまた色々行き詰まった所が出てきたので、言語化も兼ねて今一度悩んでいるところを書き出しておきます。
わからなさのわからなさ
説明ベタなので誰かにソフトの使い方を教えたりする度に微妙な雰囲気になってしまう。僕の説明ベタさの原因は、誰かが何をわかってて何をわかってないか、そしてその人が何を「わかりやすい」と感じるかへの想像力がまるでポンコツだからなのだけど、この自分の「わからなさが分からない」という感覚が分かるまで、だいぶ色んな人を困らせてきたんだろうなぁとしょんぼりする。TENETで疑問におもったことのメモ
「良くする方法」を良くする方法


女書
僕が Unicode 表の中で一番気になっていた「女書」という中国南部の文字体系がとうとう Noto Sans Family に加えられた。これで VJ に使える 。 と思って気軽にシェアした所、女性が漢学に触れる事が許されなかった時代に彼女らが独自に編み出した表音文字だったと教えて頂いて震えた。
ナード観の覚書
というツイートを受けて となんとなく書いたのですが、(Twitter の性質上仕方が無いにせよ)色んな受け取られ方をされていたので、個人的に何を思ってのことだったのかメモしておきます。普段はこの種の言説にガッツリ反応するのも自分の役割ではない気もしてスルーしてるのですが、この感情は今のうちにしゃマシな作り方の作り方を作る
ここ最近、 Glisp というアプリをつくっています。Lisp ベースのベクタードローイングツールで、Creative Coding と伝統的なチマチマやるデザインとの合わせ技っぽい使い勝手を目指してます。 ひとまず Cuushe さんのビデオ に手入れ続けて止まらないのが気が済んでからなのですが

目的に関知しない
外国語を学ぶ一番の醍醐味は母語では文節出来ない概念を知ることだ、という話がある。実際なけなしの頭で英語を勉強している身として、その通りだと思う。その点で、この数年で一番、良いなぁ、便利だなぁと思った形容詞が、agnostic だ。語源は agnosticism、不可知論。宗教的には、明確に神の存在を否定する無神論とは異なり、神は居るとも居ないとも断定できないとする立場のことだが、そこから転じて、大雑把に「分かりかねる」「知り得ない」のような意味になるらしい。ソフトウェア工学の世界では、プロトコルやインターフェースの詳細に関知しない状態で設計された、つまり「非依存の」に近い用法で使われることが多い。例えば、platform agnostic で「特定のプラットフォームに依存しない」という成句になる。似た言葉に cross-platform 「複数のプラットフォームで動作する」があるが、両者の語義的なニュアンスの違いはまだ上手く日本語に置き換えられていないように思える。
健全なマウンティング社会

モーショングラファーの人徳
https://blogs.adobe.com/japan/cc-general-adobe-max-japan-max-challenge-2019-judge/「かず」と「すう」
形式的記号操作としての数学と実世界の数量に対する算術としての数学がはっりと区別できた瞬間はペアノの公理を知った時だった。理屈としては「数(かず)」と「数(すう)」の違いはわかっていたつもりでも、あの時ほど明瞭な悟り体験のようなものはなかった。「ぽさ」をパターンマッチングする
反応拡散系やセルオートマトンで生成したテクスチャを初期条件に地形をつくるというのをここ最近試してるのもあって、この Nic Hamliton の新作は飛び抜けてエモかった。彼の作品にはいつも独特の異化のエッセンスが宿っている。3DCG 系に多い男子的カッコ良さとも、インターネット感とも距離を置いたGenerative designと解像度