広告とRelated Works

ADC | WINNERS tokyoadc.com

2026年度 日本のアートディレクション ADC賞受賞者

竹中工務店「Believe CRAFT.」のフィルムディレクション
 山田智和 Tomokazu Yamada film director, cinematographer

監督、山田智和さんかー。

パクること自体は全然良いと思ってる。McGloughlin Brothersが切り拓いた手法が多くの人たちに参照され発展していくのは素晴らしいことだと思っているから1。でも同時に、ちゃんと皆の目につくところで影響元をクレジットしたり言及をしないことが、自分はフェアじゃないと思う。いや、言葉を選ばずにいえばセコいし、シャバいと思う。

もちろん監督だけの責任じゃない。プランナーなのかCDなのか、別な立場の人が手法の決定に関わっているのだろうし、クライアントの手前、余計なことを言わないほうがいいのも分かってる。それにしても、Related work(s)2を敬意をもって明示する文化が、広告業界にもいい加減根付いたって良いんじゃないか。直接影響を受けようと偶然の一致だろうと、色んな人たちが形作ってきた表現手法の系譜のなかに謙虚に自分たちを位置づけることは、かっこいいことだとぼくは思う。予め参照元を言ってしまえば、炎上リスクも下げられるし。

制作会社のWhateverは、立場を問わず発案者のクレジットをすることにしているそうだ3。これも別にやらなくたっていいことではあるけど、少なくとも自分の中のWhateverに対する株は上がった。同じように、参照作品をちゃんとクレジットすることは、慣例になってもいいと思う。さすがに「パクリ元」はハードルが高いのであれば、ちょっとぼかして「Related Works=関連作品」からでもいい。そうやって皆がお互いの仕事からの影響を表立って語れるようになれば、クリエイティブ業界特有のシャバさは和らいでいくんじゃないかと思った。


最近とある会社に「広告業界に対して感じていることを、批判的でもいいから率直に語ってほしい」とオファーを受けた。なんだかんだ広告産業に生かされている身として、別にケンカを吹っ掛けるつもりはないのだけど、ちょっとした練習としてこの散文を書いた。詳細は来週公開予定。