Baku Hashimoto

フレーム

『ヴァナキュラー・ウェブ』試訳の一部です。Olia Lialinaによる原文はこちら.

W3Cによる説明を平たくするとこういう意味だ:「HTML のフレームとは、1つのブラウザ画面の中に複数の独立したウィンドウ、あるいはサブウィンドウを作る機能のこと。複数ビューは、スクロールやページ遷移をしながら、画面内に特定の情報を表示したままにするというレイアウトを可能にする。たとえば、上に常に固定バナーを表示し、左にナビゲーションメニュー、そして残りのエリアにはそのメニュー操作で切り替えたりスクロールできる本文を表示する、みたいな構成ができる。」

W3Cの説明は理にかなっているし、ウェブデザイナーにとっても魅力的なものなのだけど、一般的には依然として素人っぽいもの扱いをされている。フレームは90年代後半にはプロのサイトでもヴァナキュラー・ウェブでもふんだんに使われていて、まさにあの時代を象徴する機能だった。本来ならこの論考で触れるまでもないんだけど、あえて言及するのは2つの重要な理由があるからだ。

まずひとつ目の理由は、フレームがまさにみんなの話題だからだ。HTMLの中でも特段ユニークな要素で、プロもアマチュアも、古参ユーザーも新参も、皆が等しく何かしら語れるところがある。なぜそうなったのかはわからないが、ウェブを見たことがある人なら必ずどこかでフレームに出会っていて、皮肉のひとつも口にできる。もはやウェブ民話の一部といっていい存在だ。

「フレームは使うべきか?」 この問いが https://designtimeline.org に投稿されたとき、寄せられた回答数は過去最大級だった。千年後、もしこのデータベースを宇宙人(あるいは考古学者)が解読したなら、ウェブとは大量のフレームでできていた、と結論づけるだろう。

ふたつ目の理由は、フレームが非常に特徴的なルックを生み出すことだ。印刷物としてのグラフィックデザインがウェブデザインっぽい要素を参照するとき、このフレーム型のレイアウトはよく使われる。(たとえば Amazonの印刷広告や、新聞の旅行欄に載る格安航空券予約フォームのように)画面をフレーム状に区切る構図は、スコア表示がゲーム画面を象徴したり、コマンドライン上で点滅するカーソルがハリウッド映画におけるハッカーっぽさを象徴するのと同じくらい、ウェブを示す記号になっている。

2003年、Merz Akademie の学生たちは「WWWの最初の10年」を記念して、ウェブ史のランドマークを象徴する物を集めた展示を行った。壁紙画像へのオマージュとして、OBI(訳注:ドイツの定番のホームセンター)で買った本物の壁紙を巨大なボードに貼り、フレーム風のレイアウトにした作品もあった。シンプルな構造にもかかわらず、それは間違いなくウェブページの骨格そのものだった。


今ではフレームはあまり使われていないけれど、ウェブデザイン的な要素としては依然として自然で、クラシックなテーブルレイアウト以上に「ウェブらしさ」を象徴する存在として認識されている。

『ヴァナキュラー・ウェブ』試訳 目次

  1. 土着民と蛮族たち
  2. 工事中
  3. 星空の背景画像
  4. 無料ウェブ素材集
  5. リンク
  6. MIDI
  7. フレーム
  8. チルダ
  9. 〇〇のホームページへようこそ
  10. メールはこちら
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