広告業界では「Art & Tech」なんてバズワードがあるが、ArtとTechが二項対立で語られるのには、前から違和感がある。
言い換えれば「美的センス&デッサン力」のようなもので、元からお互いに干渉しあっている、
渾然一体としたものなわけだから、いまさら融合もクソもない。

っていうのが僕個人の感覚だ。二割位は「デジタル・ネイティブ」感を自己演出しするために言っているような気もするし、だけど多分本音だと思う。

思い出せば、「5・6 年生にもわかる JavaScript」を勉強し始めた時期と、
なぜか爺ちゃんが知人から譲り受けたクラック版 Photoshop 6（ご丁寧に CD ラベルまで自作してプリントしてあった）を触り始めた時期は一緒だった。
厨二の頃「真のハッカーは、科学、プログラミング、文学、アートの全てがより高次の創造的遊戯に融合されがちだったりする」みたいなこと言ってる文に感化された経験も、
そういう価値観の形成のルーツとしては大きいかもしれない。

Art & Techなんて自明じゃないか！ って言い切るのはさすがに無理があるとしても、
CG やフィルム技術、リトグラフや花火、さらには染色や鍛冶の技術もかつてはTech的な存在だったように、
プログラミングないし情報技術だって自然と「工芸」的な佇まいになっていくだろうし、プログラマーという存在もまた、この先数十年で「職人」的な技芸の持ち主になっていくのだろう。

畢竟、Art と Techを峻別する感覚自体が無い人こそが 真にArt & Techな人間なんだろな、と思う。僕もその一端でありたい。
少なくとも、両者を「&」で繋げてドヤる人に「Art & Tech」精神は感じない。