橋本 麦∿Baku Hashimoto

映像作家100人 2018 ティザー映像メモ

映像作家100人2018のティザー映像を作りました。toiret statusさんの音が最高過ぎたので、久々にキュインキュインなモーションを組んでみました。

この1ヶ月の習作を上手く投入できて、満足感のある作り方が出来たのでメモ。今回は使い慣れないソフトやプラグインを雑にこねくり回しただけで、何も大したことはしてないのですが、その大したことなさも含めて誰かの参考になれば。

TL;DR

  • カラーパレットの代わりにグラデーションを用意
  • Readyでイモムシみたない模様を作った
  • ジェネったテクスチャはポストエフェクトで大分見え方をこねくり回せる
  • Octane Rendererから吐いた画像をトーンカーブでグジャグジャにした


カラーパレット

通常のカラーパレットではなく、Illustratorで作ったグラデーションを随所に使いまわすことで色味の統一を図っています。REEL 2017と同じ考え方。Semitransparent Designさんデザインの2018年ロゴがマゼンダだったのもあり、Natalia Stuykbaugasm、最近ご一緒したKana Teraoさんのエッセンスを自分なりに咀嚼して男の子っぽくなり過ぎないように意識しました。

反応拡散系の素材制作

反応拡散系についてはこちらを参照。qubibiさん中間耕平さんなどが作品に取り入れています。

よくHoudiniやTouchDesigner等でスクラッチから書いたデモを見ますが、僕は仕組みをさして理解していないのでReadyという研究用シミュレーションソフトを適当に使いました。様々なサンプルがプリセットになっています。面白げなものを適当に選んで、右カラムからパラメーターと解像度を設定。File -> Start Recording... から連番画像をエクスポートできます。

深度は8bitオンリー。気になる場合は別環境に移植したほうが良い

シェーディングにはSapphire系のエフェクトが使えました。S_Distort(このエフェクトのポテンシャルは千合洋輔さん龍の歯医者のOP制作時に発見したとのこと)やCC Vector Blurでぐんにょりさせると良い感じになります。S_EdgeColorizeで、ベベルのようなカラーを入れるなど。

左から、元素材 → S_Distort1回目 → S_Distort2回目 → S_EdgeColorize

プリセットにはチューリングの論文出典のサンプルや、おなじみGray-Scottもあります。個人的にはExperimentsカテゴリが何かと良い感じです。ビジュアル・アーティストのCornus Ammonisのコードもありますが、今回はDan Wills氏のものを多く使わせて頂きました。

すべてがFになるのED映像でセル・オートマトンの素材を作る際、Gollyを使ってセル・オートマトン系の素材を量産していたのを思い出しました。

GPUレンダラーを雑に使う

3D素材にはOctane for Cinema4Dを。仕事では初投入です。一部アセットの制作にHoudini Indie 16.5を使用しました。

せっかくなので、フォトリアル以外のなにか面白いルックを探ってみることにしました。すりガラスのような質感の元素材に、ぐにゃぐにゃのトーンカーブをかけて偶発的に色味が馴染んだところを狙って使っています。

そもそもOctaneを扱いきれてない感じが見て取れる

C4Dでは、全体のタイムラインとは関係なくグラフィックの要素単位でパターンを出しています。それらをAE上で自由に配置しました。

サンプル数の低さに起因するノイズを正当化するかのように、他の2Dグラフィックも S_Diffuse やディザ合成でざらついた質感にしています。

元になった習作

このあたりです:

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Moving worms and solitons by Dan Wills #ready

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