川村真司さんへの表口grass

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裏口の逆で、本人にだけ直接言うっていう不誠実さもあると思う
本人に言うだけじゃなくて、本人の居ないところでもちゃんと言わないといけない。ので「表口」(造語)

  • 恐らく、業界人ではない川村真司ファンの最古参として思うのは、やはり『日々の音色』が最高傑作だということ
  • PARTY / PARTY NYC時代の十数年は、確かに社会や業界へのインパクトはあったし、組織を束ねる、ニューヨークに根を張り挑戦するという点で、ものすごく充足していたのだと思う。けど制作物それ自体のすばらしさという意味で、ついぞ『日々の音色』は超えられなかった
  • 恐らくいくつかは上映許諾が下りなかったのだと拝察するが、仮に『ひろしまアニメーションシーズン2024』の川村特集の4作品を映像作家としての川村真司さんのベストだとすると、どんだけ世界トップクラスのクリエイティブ・エージェンシーを渡り歩き、グローバルブランドを相手取ろうと、10年経って残った仕事の3/4は、20代後半で高校時代の同級生のバンドのためにつくったMVだった。っていう捉え方もできる
    • 『SOUR / 半月』『SOUR / 日々の音色』『SOUR / 映し鏡』『androp / Bright Siren』
    • だし、もしbaku89#iconが選定するとしてもこの4作品を選ぶ。もし作品に限らなくてもいいなら、andropがOUTで、佐藤研で習作として撮られたミシェル・ゴンドリーっぽいパカパカ着座ビデオがIN
  • 同じ2011年からの10年数で、ダックスフンドにLEDを巻いてバズってる間1に、折笠良さんは『水準原点』から『みじめな奇蹟』まで、素晴らしい作品を個人で生み出している。米Creativity誌の「世界のクリエイター50人」は文字通り世界に50人はいるが、折笠良さんは世界に一人しかいない
  • ファンとして思う川村さんご本人もあまり自覚していない持ち味は、発想のいなたさだと思っている。(『死霊のはらわた』的な)B級臭さへの偏愛云々ではなくて、本人が「ノンバーバルで削ぎ落とされたアイデア」だと信じて選ぶモチーフの、絶妙な熟れてなさ
    • andropに関して自分が一番好きなのはこれ。ショウダさんや長添さんという「かっこよさ」を担保してくれるディレクターを入れずにご自身で演出されたからこその健気さがいい。反転リプチンスキーに「見ざる・聞かざる・言わざる」、RGB分版のためだけにギターの高さを変える、そして一輪挿しのお花……
  • けど、十数年広告屋として誠実にハードワークしたことで積み重ねた信用は、松本紀子プロデューサーからの信託という形で大きなチャンスに化けた。むしろこの一度のチャンスのためにダックスフンドをLEDで光らせていたといっても過言じゃない。『日々の音色』の素晴らしさに、あとは『HIDARI』が成功すれば、キャリアとしては、殆どのクリエイターには到達できない大団円なんじゃないか
  • それとは別で、『HIDARI』の前に一から十までたった一人で何か作品を作ってほしい。できればコマ撮りで。辻川幸一郎さんやブルース・ビッグフォードのように。一種プロデューサー的な視点をもった監督業に徹することは、制作をつつがないものににするために大事な分業ではあるものの、ちゃんと「コマ撮り」それ自体と向き合うことで、手で考えることができるようになる。色んなアイデアが手から湧いてくると思う。というか「アイデア」や「発想」って枠組みを卒業できる。誰かを説得したり、唸らせるために言葉や記号をパチパチとハメ合わせるんじゃなくて、「ニュアンスや質感への想像」が中心的な営みになる。ドロっとしたものをかき混ぜるような。