デザインの3つの機能

  • 機能を果たすこと
  • 印象を与えること
    • 「それっぽさ」の再演
    • 差異化

ほとんどのUX語りは、「機能」と「ぽさ」の話をしている。「ぽさ」はユーザーの過去の体験からインターフェースの挙動を類推しやすくするって意味で、「機能」とも密接に結びついている。UI/UX系のInvisible computing観とも親和性が高いし。

一方で、「ぽさ」と差異は、互いに矛盾するものでもあって、緊張関係を保っている。「ぽさ」は一定の信頼感を与えてくれる一方で、「ぽさ」一辺倒だと、陳腐で退屈なものになる。だからといって全てを差異のみで構成すると、あまりにアバンギャルド過ぎて受け入れてもらえないものになる。

JAGDAデザイン会議2026岡本健さんが木村浩康さんと小玉千陽さんに語られていたことって、「差異のためのUX」なんじゃないかな。「機能」と「ぽさ」は、それはインターフェースが透明であるためには重要なことには変わりないんだけど、デザインってそれだけじゃないよねって。

「ユーザー体験」は、「ユーザーがサービスに何を望んでいるか」よりも「サービス提供者がどうユーザーの欲望を規範化したいか」が語られることが多い。そこには「ユーザーにはそのWebサイトやソフトウェアを用いる確固とした目的があって、それこそがツールの本懐である」という無意識の仮定がある。そのほうが、ユーザー像やデザイン思想を定式化しやすいから。けど、「ユーザーは天邪鬼で飽き性で、表現の中にある陳腐さを目ざとく嗅ぎ取ってしまう」っていうはた面倒くささってのも一方である。勿論どの分野に奉仕するデザインなのかにも依るけど。

情報伝達だけでいえば、グラフィックデザインは別にグリッド・システムで完成してもよかったはずなんだ。にも関わらず、それ以後も色んな実験的な組版手法とかが登場し続けるのは、結局人は「差異」を求めるからに他ならない。差異が求められる限り、消費は飽和しないし、表現の源泉は尽きることはない。(→ 意味論的なカテゴリーは生産的な集合