演繹マシンから帰納マシンへ (Scratchpad)
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AI、ないし機械学習技術は、コンピューターの活用方法をどう変えたか?
LLMで校正できて便利、カンプ画像をジェネれるとか、そういう個別具体的な実用例の話じゃなくて、もっとAIという技術全般がどう僕らとコンピューターとの関係性を変化させたかについて考えてみるのもおもろいんじゃないか
- baku89.icon: AI機械学習技術がこれまでのプログラミングやコンピューターの活用方法と何が決定的に異なるかをを説明する時、「演繹マシン」としてのコンピューターから「帰納マシン」としてのそれへの遷移という切り口はとても良いんじゃないかと思ってる。続きをどうぞ!
- chatgpt.icon: コンピューターは長らく「演繹マシン」として機能してきた。つまり、明確なルールやアルゴリズムを与えれば、それに基づいて厳密に論理演算を行い、期待された出力を導く装置として設計されていた。従来のプログラミングのほとんどは、この演繹的な枠組みの中で行われてきた。開発者があらかじめ定義したルールに従い、データを入力し、決められたプロセスを経て結果を得る。この手法は、数値計算、シミュレーション、制御システムなど、幅広い分野で活用され、コンピューターの強みの源泉となってきた。しかし、AI技術、特に機械学習の発展によって、コンピューターは「帰納マシン」としての性格を強めつつある。つまり、明示的なルールをプログラムするのではなく、大量のデータからパターンや法則を学習し、自ら規則を発見する方式が主流になりつつある。ここでは、システムが与えられたデータから帰納的に知識を構築し、それを用いて新しいデータに対して推論や予測を行う。ディープラーニングをはじめとする機械学習モデルは、厳密な手続きよりも経験則や統計的傾向に基づいて動作し、従来のプログラミングには難しかった柔軟な認識や判断を可能にしている。この変化は、コンピューターの役割そのものを大きく変える。演繹マシンとしてのコンピューターは「決められた答えを速く正確に導く」ものであったのに対し、帰納マシンとしてのコンピューターは「決められた答えのない問題に対し、経験的にもっともらしい解を見つける」ものになりつつある。これは、問題解決のパラダイムを大きく変え、プログラムの作り方や人間との関わり方にも影響を与えている。