橋本 Hashimoto   Baku

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技術は世界を一様に便利にするわけではない (メモ)

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杉浦康平 - 時間地図

交通機関の発展が世界を一様に小さくしたわけではなく、むしろ都市部のように行きやすい場所と、陸の孤島と呼ばれる行きづらい場所との格差を広げた。それはやがて「行きづらい」 から「行きたいとも思わない」、そして「行ける場所として認識しない」へと変化し、僕らがどこに出かけようかという発想を無意識に規定するようになった。

同じことが道具にも言える。デザインツールの便利な新機能は、必ずしもデザイン空間の全ての方向への移動を一様に早くするわけではない。往々にしてそうした発明は、プロセッサ性能の向上やOS/プログラミング言語の新しいパラダイム、あるいは新しいタイプのHIDによってもたらされるものだが、GUIによるエンドユーザー向けのアプリでは、なかなかそういうことは起きない。あるのは、「この映えスポットまでロープウェーを渡しましたよ」というアドホックな対策の連続。

一様に縮めた例

  • OS/プログラミング言語の新しいパラダイム: パイプ(Unix)、関数オブジェクト、モナド
  • HIDの進化 - ポインティングデバイス、マルチタッチ
  • こうした一般化された「距離」概念はFitts's law操作距離のように、インターフェースについても考える際にも役に立つ
  • 「行きたい場所をヒアリングして、そこへの直通ロープウェーを渡す」のはマーケティング的には合理的だが、それによって地形のアクセス性は更に不均衡になっていく。ロープウェーの快適さに慣れたユーザーにとって、ますます登山道の外は不可視のものとなっていく。ユーザーとベンダーの悪い意味での共進化がそこに起きている