橋本 Hashimoto   Baku

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100%ユーザー支援 (Scratchpad)

This page is a personal scratchpad.

Written by Steph Ango

これは、Obsidianがベンチャーキャピタル(VC)から資金調達をせず、100%ユーザーからの支援だけでやってる理由だ:

  1. 大きくなりたくないし、大勢を雇う必要もない
  2. 譲れない原則がある
  3. ユーザーが喜んで支えてくれる。だからVCマネーはいらない

Obsidianは永遠には続かない。そもそもそんなアプリは存在しない。でも、Obsidianでつくったファイルはあなたのもので、うまくすれば何世代も残るはずなんだ。一方で、VC資金が入ってるプロダクト = VCウェアは基本的に「5年以内に結果を出してなんぼ」で作られてる。長生きするようには作られてない。

多くのスタートアップがVC資金を調達するのは、開発にまとまった金が必要だからとか、成長を早回しする近道だと思ってるからだ。確かに、ある種のプロダクトには資金が必要ではある。ただ実際は、せっかちさと「シリコンバレー的な惰性」が原因のことも多い。

VCウェアは、最初は価格を無理やり抑えてユーザーを集める。激安だったり無料であるほうが、拡大に有利だからだ。でも、そのツケはたいていユーザーデータの収集と囲い込みという形で払わされる。いったん入ったら抜け出せなくするんだ。

そしてVCウェアは資金を集め続けるために、壮大な未来のビジョンをどんどん盛っていかないといけなくなる。そうしたビジョンはだんだん現実離れしていって、結果的にプロダクトの優先順位がズレていく。気づけば、最初は便利だったアプリが、ゴミのような別モノEnshittificationになる。

VCwareは最終的には「イグジット」しないといけない。つまり、買収されるか上場するかして、投資家にリターンを返す。スタートアップの9割は失敗する。でもVCとっては想定の範囲内だ。1社でも大当たりが出れば、それで他の失敗分もチャラになる。こうした仕組みでは、「でかくなるか、死ぬか」の二択しかない。

でも今は、小さなチームでも信念と原則のあるソフト(principled software)を、投資家に縛られずに、何百万人にも届けられる時代になった。そうしたアプリにおいては、データーもプライバシーも、ウェルビーイングも、ユーザー自身がコントロールすることができる。そういう信念をアプリの構造レベルで組み込めるようになった。

信念ある人々は、昔から信念あるソフトを作ってきた。ただ今はかつてと違って、ずっと少ないお金と人数で、それをもっと多くの人に届けられる。その波は、まだ始まったばかりだ。

もしあなたに信念と、それだけの我慢強さがあるなら、100%ユーザー支援でやっていくのがいちばん楽しい道だと思う。