「HTMLを書かせるCMSは全然ユーザーファーストじゃない」 (Scratchpad)
This page is a personal scratchpad.
(https://x.com/micro_cms/status/1927649652478013835 を受けて)
なんで人類はCMS導入してるのにわざわざHTMLを書かねばならんのだろうな…。
お客様にお金払ってもらってCMS導入してもらうのだから、きちんと更新担当者のオペレーションコストを下げる努力をしましょうと僕は言いたい。CMS入れてるのにHTMLタグ覚えなきゃ更新できないとか経営目線で見たら無駄でしかない。
僕がなんでこんなに怒ってるかって、CMSが導入されているのに自分たちで更新できないんですって声をほぼ毎週のように耳にするからです。HTMLを書かせるCMSは全然ユーザーファーストじゃない。
https://x.com/yoshikikoji/status/1928003135009673544
最近ちょうど https://featuredprojects.jp を(当分はNuxt Content, 近々WPのHeadless CMS化を目標に)一人で作ってたのですが、GitHubリポジトリごと渡してあらゆる文言を見様見真似で更新可能にしています。HTML、Markdown、それにYAML少々をフンイキで覚えて頂きました。
このアプローチは少なくともユーザーフレンドリーではないけど、とりとめのない自由をあけ渡すという点ではラディカルなユーザーファーストなのかなと自分なりに思ってます。そんなUnix哲学みたいなことを実務で持ち出しなさんなってFeatured Projectsのお二人には呆れられそうですが。
ただ、いつまでメンテナンスされ続けるか分からないプロプライエタリな謹製CMS上に変数化されたコンテンツのみを触ってもらうこともまた(経営面はともかく、文化的意気込みとしては)ユーザーファーストとは言い難いのかなとは思います。そう、最近はNewtのコトもあったので……。
ところで、あまりぼくは普段受注仕事としてWeb開発をしないのですが、最近はちょうどハイパーテキストのことを考えてたのと、去年のFPへの登壇依頼を森道イノウ被りで断ってしまった申し訳無さもあり、珍しく請けさしてもらいました。電音研やNEWのような、ぼくも好きな新しい方々をフックアップしたりと、ちょっとDesign Pannism的なかほりを感じるものの、デザインカンファレンスとして人選にセンスがあるなぁって前々から思っていたのもあります。
話はもどって、「自分たちで更新できないCMS」はたしかに問題だけど、それは彼がXであの剣幕で怒るほど、それがHTMLを直書きさせる仕組みに起因するかは、ぼくにはちょっと疑問です。microCMSのあの機能だって、通りいっぺんのリッチテキスト編集を補完する形で、HTMLのコードブロックがあるよって話ですよね。
それよか、CMSでシステム化されていないデザイン的・構造的変更があったときにその会社を頼らざるを得ない状況もまた、むしろ経営面におけるオペレーションコストといえるのかな、みたいなことはシロウト目に思ったりもします。もちろんぼくの「リポジトリごと渡してプレーンテキストを書いてもらう」っていうのも、原理的にあらゆる変更は可能だけど、現実的にはぼくに改修をお願いせざるを得ない状況にはなりうるわけで、万能な解決策にはなっていないのですが。
そういえばnormalize.fm に出演されていたんですね。ぼくも2回ほど喋ってます。「正規化」仲間ってことで。
追記
- OSSだっていつまでメンテナンスされつづけるか分からないって意味では同じですよね……。けど、少なくともforkされる余地がある、また、誰かが移行するための仕組みを記述してくれる可能性もあるって意味では一長あると思っています。
- e.g., 下火になったMovableTypeからWordpressへの移行ツール
- ただし、そのOSSにどういう資本的、経営的後ろ盾があるかって視点は確かに大事。OSSだから何でもかんでも良いって話じゃなしに
- VercelとNext, FacebookとReact
- Wordpressはどうだったかな
- その点、Evan Youのv0がどうVue.jsをどうマネタイズしていくかは気になる
- 彼の会社の謹製CMS(Orizm)に関しても、NewtやmicroCMSと差がつけられるとすれば、もしCMS開発が何らかの事情でストップしたときの負の出口戦略を、受注時点でお伝えすることなのかもしれないとは思いました。
こっからは余談
「normalize.fm #71 公開収録 付録」や「それそのものの話をする」で考えていたことを深ぼってみるために(出来ればそこで暗に批判しているある種のノリとこれから付き合うために)請けたところがある
- https://featuredprojects.jp に関して、リポジトリごと渡すという話にしたのも、スタンスとしてbaku89.iconには理解できない部分があったからではあるかも 自分自身でその文言を入れたくなかった
- 行動規範 Code of Conduct(旧: Compliance)と、実際にこれまでに実行したことこそが本物で、デザインファーム / デザインコンサルにありがちな、あまり何言ってるかわからないようなぼんやりしたステートメントなんか無いほうが良いと思っている
- TDCのサイトはCoCがAboutページの一番上にある。良いなって思った
- 「コンセプト」「プロジェクト」、なんなら「デザイン」という言葉一つ一つにしゃんとした意味がある
- コンセプトは、その作品や組織がどういったモノで、他のモノからどう区別されるのかを、完結かつ必要十分に示した言葉だとbaku89.iconは理解している
- 「よいものづくりは、未来を拓く」は、確かに自明ではあるのだけど、それがどうFeatured Projectsの活動を形容するのかまだ理解できていない
- 「よい」とは? 「未来を拓く」とは?
- baku89.iconは「合言葉」という言葉を提案していた コンセプトというほど、FPは何なのかを過不足無く分節するものではないと思った
- 「よいものづくりは、未来を拓く」は、確かに自明ではあるのだけど、それがどうFeatured Projectsの活動を形容するのかまだ理解できていない
- プロジェクトという言葉は、藤幡 正樹さん的な意味で理解している。「未来に向かって(pro-)投影されるもの(-ject)」、つまり、作品やイベントのように時空間上に点的に存在する自己完結したものではなくて、経時的に実行されつづけるもの
- <= 2 daysのデザインカンファレンスやトークイベントは、あくまで「イベント(event)」だと思う。あえて「project」とボカす意義が理解できない
- 「デザイン」もそう。Design Pannism的なスタンスを感じる
- 相楽さんの『Every Subpixel Matters』やフォント周りの実験など、ああいったご活動こそが「グラフィックデザイン」として素敵と思っているし、何よりユニークだと思っている。なのに彼女のインタビュー等でも、そうしたデザインのフォーマリズム的な側面ではなく、キャリア論やイベント開催にまつわるチームマネージメント論など、別に誰でも話せるようなことを語られていて、baku89.icon的には惜しいと思った
- コンセプトは、その作品や組織がどういったモノで、他のモノからどう区別されるのかを、完結かつ必要十分に示した言葉だとbaku89.iconは理解している
- けど「意識の高いWeb」のようなものが出来上がる機序のようなものは理解できた
- 若林恵さんの会社みたいな、ああいうポジションを築きたいのかな...? と思う
- 広い意味でのコンサル業
- だとすれば、少なくともぼくはそのターゲットじゃない
- 研究者など、具体的なイシューを抱えている人ほど、言葉の意味を狭く具体的にすることを厭わない。興味が移ろえばその都度その具体性を乗り換えれば良いから。あらゆる可能性をのこすために全部を緩くフワッと括る言葉づかいにすることは、practitioners(実践者?)の信頼を損なう
- → 言葉の使い方を精緻にする
- 若林恵さんの会社みたいな、ああいうポジションを築きたいのかな...? と思う
- デザインというものがどんどんと形而上学的な概念にアセンションされるなかで(そしてデザインなんか関係ない人らが「デザイン」という言葉に纏わりつく洒落臭さを都合よくアプロプリエーションするなかで)、イベントとしてのFeatured Projectsには、改めて2000年代のonedotzero, RESFEST, OFFF, FITCのようなバイブスを換骨奪胎する存在になってほしいという期待をしている。つまり、制作そのものの話が具体的になされる場
- 「イラレTips垢」と「社会のデザイン」の間の話
- →イベント
- 行動規範 Code of Conduct(旧: Compliance)と、実際にこれまでに実行したことこそが本物で、デザインファーム / デザインコンサルにありがちな、あまり何言ってるかわからないようなぼんやりしたステートメントなんか無いほうが良いと思っている