Baku Hashimoto

橋本 麦

作り手至上主義

半年以上前に書いていた日記。「ある人」はhydekickさん。
あと、クリエイティブ業界全般に関する話というよりは、学生限定の話です。
「プロデューサー」だとか「クライアント」だとかいう言葉が出てきたとしても、
それぞれ学生の立場に置き換えてもらえたらと思います。


なんというか、ある方に作り手至上主義だねって言われたのがずっと心の中で反芻しているので自分なりの考えをまとめてみます。

まず、作っている人がエライなんてことは一切思ってません。
「助けたい」「繋げたい」「より便利にしたい」「研究したい」とか
いろんなモチベーションの元でいろんな職業が成り立っている訳で、
あくまで、そのなかで「表現したい」「伝えたい」をモチベーションにものを作っている僕達が居て、
それは並列な存在でしかないと思ってます。
「クリエイター」って言葉がしっくりこないのも、
なんとなく「警察」とか「教師」に比べてトクベツ感が出てしまっている気がするからで。
そもそも海外では通用しない呼び方らしいです、
どうやら「創造主」みたいな意味合いなんだそうです(笑)

「作り手至上主義」って揶揄されたのは
多分、その人と一緒に制作をする上で作り手として信用に足る人かどうかを
「何かをゼロからフィニッシュまで作り終えた経験があるかどうか」
で判断しているという部分を指しての事だと思っています。

スマホアプリだとか、ソーシャルデザインだとか、インタラクティブだとか、
かっこよさげな横文字飛び交うクリエイティブ業界って、
そういうかっこよさげな単語に走性のあるだけの人が案外多い気がしています。
勿論僕自身にもそういう部分は少しはあると自覚しています。
ただ、それ以上に、純粋に何かを作ることが大好きでなくちゃ、
ものづくりはやってられないと思うのです。

クリエイティブ職というとかっこよさげで華やかなイメージがある一方で、
それこそ、名義だけ貸しているようなケースでもない限り、
アイディアを考える人であろうとソフトをいじって作業をする人であろうと関係なく
実は地道で膨大な作業の連続です。
何十時間も紙や画面とにらめっこして、あーでもないこーでもないと試行錯誤する、
そうやってやっとの思いで完成した映像・Webサイト・グラフィックデザインでも
結局受け手にとって数分くらいの体験にしかならないってのが殆ど。

作品で誰かに認められたい、
そういう欲求もうまく活かせば制作にとって強力なモチベーションになりますが、
それ以上に実作業を楽しめるようでないと、
絶対にどこかで嫌になってしまうし、妥協が生まれてしまう。
だからこそ、どんなレベルでも構わないから
「ゼロからフィニッシュまで作り終えた経験」
というのは、その人のものをつくることへの意識の高さを、
高い正確性で担保してくれるものだと考えています。
「アイディアは沢山あるんだけどねー、なかなか時間なくてさ。」
本当にものを作るのが好きな人は、何かを作るという行為自体がルーチンワークのように身に染みていると思います。
「いろいろ勉強しなくちゃいけないことが多すぎて何から勉強したらいいか…><」
結局そのステップで躊躇している時点で、その程度のモチベーションしかないということです。
好きな人は誰に言われずとも勉強しているし、気がついたらスキルは見に付いているものだと思います。

みんながみんな、そういう高い志とやらを持った人だけではないというのも分かります。
「自分が直接手を動かすことは無くても、何かかしらの形でものづくりに携わりたい」
そういう人って、プロデューサー的な立場のほうが向いていると感じています。
制作に直接関わる人って、ビジネスやクライアントとのコミュニケーションに苦手意識を持っている人が多いような気がしますし、
ついつい自分のフェチにのめり込んでしまいがちなので、
一般人に近い、引いた目線で意見を言える人は、とても重要な役割だと思いますし、すごく尊敬しています。

うだうだ書いてしまいましたが、結局は何が言いたいか乱暴にまとめてしまえば、
「クリエイティブな俺を見て!」みたいなタイプは大っ嫌いだという事です…。
そして「クリエイティブな俺を見て!」クラスタの方々は往々にして、
自分のおしゃれライフをFBやInstagramでアピって
何年たっても実現されないであろうWebサービスの構想を
悟ったようにTwitterで発信し続けるのです。
で、さてさてどんなものを作ってきたんだろうこの人は、とプロフィールのURLを開けば
「クリエイティブとは何か」と、何処ぞの広告人がアドタイの連載で言っていたような事が書き綴られた
意識高いブログがポップアップ表示されるのです。
っていうのは僕の偏見ですが…

だから、繰り返すと、あなたの創造性に満ちた脳内から溢れ出るクリエイティブなアイディアなんてクソ程もどうでも良いから、
とっとと作ったもの、やってきたことを見せてください!
考えるだけ、言うだけなら誰だって出来るから!
って事です…。