Baku Hashimoto

橋本 麦

読書感想文を書く力

昔から読書感想文が嫌いでした。というのも何を書けばいいか分からないから。

高校生になってからというもの、大して興味のない話題についてそれなりの文章を書ききる機会が増えたと思います。「羅生門を読んで思った事」とか「校内活動で心がけた事」とか。

凄く困ります。何を書けばいいのかって。で、気付いたんです。この感覚、読書感想文を書くときと似ていないかって。何処かの記事で読んだのですが、大人になって求められる意外な能力の一つに「与えられたテーマについて短時間で文章をまとめる力」があるそうです。ああ、読書感想文ってその為の一つの訓練だったんだなと。

以前まで「何を書けば良いか分からない」というのは「書くべき感想がない」と同値だと考えていました。だけど、最近になってそれは間違いだと気付いたんです。正しくは「思っていることを感想文という段階にまで具体化出来ない」。

なにか本を読みます。どんな人であれ、何かかしら思う所があるはずです。「面白かった」「切なかった」。だけど、下手な人はそのステップで踏みとどまってしまう。素敵な文章を書く人は、なにか特別な視点をもってして書物に触れているわけではないと思うんです。大勢と同じく面白かった、切なかったと感じる。だけどその先、「なぜそう思ったのか」を徹底して考えられる。そこには自分のルーツが絡んでいるかもしれないし或は文章中の特定の描写に心惹かれるものがあったからかもしれません。そして素直に思ったことをパズルの様に整理して原稿用紙という型にはめ込んでいく。勿論建前で奇麗事を書く事はあっても、それだけ100%で文章を埋める事はないはずです。

読書感想文は読み物に対する感想ではなくて、読む事で動かされた自分の心の観察日記なんだと思えばいい。僕は最近になってその事を強く実感しています。それに限らず身の回りで文章を書く機会があったとき無から文書を紡ぎ出すのではなくまずは自分の素直な想いに目を向けその想いの「なぜ」を遡ってみる。良い文章を書く上で、この事って凄く大切だと思いました。